こんにちは。大賀信幸です。すべては観察から始まる。
不動産投資 利回り
不動産投資を利回りで表現するのは危険です。思わぬ勘違いや見落としがあります。借りた金返せなくなります。
利回り10%は欲しいなぁ。利回り3%ではビジネスにならないなぁ。なんて言葉聞きます。この利回りって何って話になります。
利回りには3種類
- 想定利回り
- 表面利回り
- 実質利回り
想定利回り
対象不動産からが満室になったと仮定して、すべての収入を不動産購入価格で割り算した値。
表面利回り
対象不動産からの現在の収入を不動産購入価格で割り算した値。対象不動産に複数の収益がある場合、実勢の収益で計算しています。
実質利回り
対象不動産からの現在の収入から固定資産税、都市計画税、管理費、修繕費などの経費を引いた金額を不動産購入価格で割り算した値。
で、どうなるの
書き出すともっともらしく見えるでしょう。なるほどなぁ、なんて感じるでしょう。
しかし実際は、率ではなく額で計算すべきです。率で計算すると間違えます。
適当な例を上げてみます
- 不動産価格1億円
- 年間満室家賃収入1000万円
- 実質年間家賃収入800万円
- 年間経費100万円
- 借入額1億円
- 返済期間20年
- 金利2%
すべてのお金を現金で用意するなら、借入額以下の部分は必要ないのですが、不動産投資は金融したお金で投資出来るのが魅力です。
ざっくりこんな感じで検証してみますね。
年間経費100万円としたのは、この中に管理費用、修繕費、固定資産税、都市計画税などを含むとします。対象不動産以外の経費は含んでいません。例えば交際費とか。交通費とか。
想定利回り
- 1000万円➗1億円=10%
- ゆえに1000万円のお金があるように見える。
表面利回り
- 800万円➗1億円=8%
- ゆえに800万円のお金があるように見える。
実質利回り
- (800万円−100万円)➗1億円=7%
- ゆえに700万円のお金があるように見える。
で、どうしたの
次に金融の情報を検証してみます。
1億円を20年間で返済ですから、1年間の返済額は、1億円➗20年=500万円です。
1億円に対して金利2%でお金を借りている訳ですから、1年目の金利は1億円✕2%=200万円です。
正確には元利均等とか元金均等とかの返済方法があります。実際には年単位ではなく、月単位で返済が一般的ですが、細かいことは別にして話進めます。
つまり、元金返済と金利分を合計して、500万円+200万円=700万円を1年間に返済せねばなりません。
上記一番下の実質利回りの7%で、年間家賃収入から経費100万円を引き算して、残ったお金700万円。
この700万円で、金融機関への借りたお金の返済に当てることが出来そうに見えるでしょう。
年間返済金700万円。年間家賃収入から経費を引いた額700万円ですからね。
年間返済金700万円−年間家賃収入から経費を引いた額700万円=ゼロ
で、これで採算が最低限合うと判断してしまいます。ここ最大に間違いになります。
こんな簡単な事って思うでしょうが、僕の親しい友人がこの間違いで破綻しました。
で、どうするの
どう間違うのと問われそうですけれども。
法人税分だけ足りなくなります。個人で不動産投資されている方であれば所得税分だけお金足りなくなります。
固定資産税、都市計画税、金利分、管理費、修繕費これらすべて経費になります。
問題なしです。
しかし、元金返済分の500万円はどうでしょう。この500万円って何ってなります。
再度検証してみますね。
年間家賃収入800万円、固定資産税、管理費などの経費100万円、金利200万円となりました。
ここで、計算し直しますと、800万円−100万円−200万円=500万円となります。
500万円は利益扱いになります。正確にはここから減価償却費やその他の経費を引き算できますが。
これらの減価償却費やその他経費をざっくり50万円としても500万円−50万円=450万円の利益になります。
この450万円が利益ですから、この利益額から計算して所得税や法人税を納税しなければなりません。実質利回りで計算した額から金融の返済金を引き算する。引き算した値がプラス・マイナスゼロとしても税金分のお金が毎年足りなくなります。
勘定あって銭足らずではなく、最初から計算間違いであったことを自覚せねばなりません。
僕の破綻した友人はこの毎年税金分足らないお金をややこしい金融屋から借りて破綻しました。正常な金融機関や銀行ではこのような場合お金貸してくれません。
友人は運転資金が必要として銀行に交渉したのですが、回答はバツでした。で、仕方がないのでややこしい金融機関に出入りしたのです。友人の場合はもっと大きな金額でしたが。
まとめ
不動産投資で利回りという表現は3種類あります。しかし利回りで計算しないこと。必ず額で計算すること。利益に対する法人税、所得税の計算を忘れないこと。利益があるように見えて実際には手元現金がなくなる場合があります。資金ショート起こすと怖いですからね。