不動産投資の損益分岐点の考え方は2通りある
ものを買って売る。ものを現金で買って現金で売る。この場合の損益分岐点は簡単に計算出来る。販売経費がざっくり10%とすると。買った金額に10%以上の粗利を乗せて販売すると損益分岐点はクリアする。
これがですね。借りたお金で買って売却するとどうなるか。まずは、いつ売れるかに注力せざるを得ません。買ってから1年後に売却できれることもあるし、10年も掛かるかもしれません。
1年後に売却出来たとしても毎月定額に借りたお金を返済せねばなりません。返済金利は経費扱いになりますが、返済元金は経費になりません。
いずれにせよ毎月金利と元金は金を借りた金融機関に支払わなければなりません。この状態で収入が途絶えたら破綻します。1年後に売却できるか否かは1年後にならないと分かりません。
11ヶ月目に資金ショートしても破綻します。結果的に12ヶ月目に売却出来て売却益が出ても11ヶ月目に破綻します。昔の人はうまく言うたもので勘定合って銭足らず。
で、どうなるの
ここらへんが、不動産投資の損益分岐点を難しく見せてることかもしれません。
具体的な数字を入れて検証してみますね。
- 不動産の価格1億円
- 減価償却費を半分の5000万円として、20年で償却したとします。毎年の減価償却費は5000万円➗20年で、250万円
- あれこれ経費1000万円 20年で償却
- 月額家賃100万円 年額家賃1200万円
- 銀行から借り入れ金1億円 返済期間20年金利2%
これぐらいで計算してみます。細かいことはなしにします。
- 先ずは、毎年の返済額は元利均等返済で、元金500万円+金利200万円=700万円
- あれこれ経費を20年で償却としますね。毎年のあれこれ経費は50万円
- 年間家賃1200万円−700万円=500万円。上記粗利で500万円になるよう見えます
- ここからあれこれ経費分の50万円を引き算して450万円
この計算では450万円の粗利益に見えます。ここから減価償却費250万円を引いて税前利益は200万円に見えます。
で、どうしたの
ここからなんですが、上記の計算は間違っています。元金500万円まで引き算しています。
計算してみます。
家賃1200万円−減価償却費250万円−金利200万円−あれこれ経費50万円=700万円になりました。
どういうことでしょう。
会計上の利益と現実に手元に残るお金に違いが大きく出ます。ここが不動産投資をややこしくしているところと面白くしている処です。
不動産投資の面白い処はお金を先に支払っている処です。上記経費処理で減価償却費の部分は毎月経費で出ていく訳ではないところです。
で、どうするの
ちょっとややこしくなりそうなので、整理します。
計算上は毎年銀行返済分とあれこれ経費を引き算しても450万円のキャッシュが残るように見えます。
しかししかし、良く考えてみるとこの450万円は元金返済分の500万円を引いた値です。元金分は経費になりません。
つまり、銀行から1億円ものお金を借りて20年間で返済する計画を立てる。順調に家賃収入があるなら毎年銀行に返済した後450万円ものお金がキャッシュが残ると勘違いします。
しかし減価償却費や経費の金利などを家賃収入から差し引くと700万円の利益になる。
ゆえにこの700万円に対して所得税や法人税がかかるのです。そしてその所得税や法人税は上記の450万円から支払うことになるのです。
手元にお金が残ると勘違いして、お金を散財すると税金が支払えなくなります。
ここからこの1億円で購入した不動産を将来売却するとどうなるか。それは神のみぞ知るってことになります。なぜなら未来の売却額は分かりませんからね。
まとめ
キャッシュをキャッシュフローと言うたりします。厳密にはもう少し計算は必要なのですが、概念はこんな感じです。
逆に注意事項や懸念事業として、損益を計算して利益になっても手元のキャッシュがなくなると破綻します。
損益分岐点の考え方として僕は2種類あると思うのです。
理想は1つ目の考え方として、キャッシュフロー重視で利益額は出来る限り少なく、手元キャッシュを多くする方策を考える。つまり減価償却費を多くする。返済期間を長くする。しかし長すぎるとちょっと心配。なぜなら長すぎる未来はイメージしにくいから。
2つ目のあってはならない考え方として、損益額の計算に注力しすぎて利益額ばかり追いかけて、手元のキャッシュがショートすることですね。ショートした時点で破綻します。せっかく利益が出ても破産するのですよ。ここ一番注意です。返済期間が短すぎる場合は特に注意が必要です。