こんにちは。大賀信幸です。すべては観察から始まる。
不動産投資 耐用年数
土地には耐用年数ありません。
建築物の構造体は大きく分けて3種類あります。構造体ごとに耐用年数が定められています。
- 木造 耐用年数22年
- 鉄骨造 耐用年数34年または19年
- 鉄筋コンクリート造 耐用年数47年
で、どうなるの
詳しく記載します。
1.木造
一般的には、木造建築物は2種類に分類されています。
1-1. 在来工法
1-2. 2✕4工法
1-1. 在来工法
古い町家などを表していることもあります。柱と梁で構成されている木造の建築物との表現もあります。古い神社仏閣なんかも在来工法と呼ばれています。在来軸組工法とも呼ばれています。
神社仏閣も在来工法と認識されているので、この認識の延長線上に法隆寺なんかの五重塔も在来工法であるとされています。
一般的にはそうでしょうが、ここ僕こだわりたい処です。法隆寺の五重塔は免震構造です。20世紀に登場した免震構造が7世紀に建築されていることに驚異を覚えます。
20世紀までの多くの建物は耐震構造です。日本で建築基準法が制定されてから最初の免震構造は1968年に竣工された東京の霞が関ビルディングです。
よって、法隆寺などの免震構造から約1000年後の20世紀後半になってやっと免震構造が再登場したのです。
だから、日本の在来工法は素晴らしいなんてこと言う人います。
7世紀の法隆寺と21世紀の木造在来工法とは似て非なるものです。同じ木造ですがまったく違います。法隆寺五重塔だけが異質です。その後の塔堂は法隆寺五重塔のコピペというても過言ではありません。
建築に長く携わっておられる物知り顔の材木屋さんなんかが、木造在来工法の家を指して、この柱は太いから丈夫な家やなんて言います。
おそらくこの勘違いは在来工法のイメージが良すぎることから来ているように思います。
在来工法は、太い柱と太い梁で構成されているイメージ。つまり古い町家や神社仏閣。
現実には在来工法は柱と梁で建築構造を保たせている訳ではありません。在来工法は壁で構造体をもたせています。理由は、柱と梁の継ぎ手によります。
この柱と梁の継ぎ手は木造建築物ではどうしてもピン接合になってしまいます。ピン接合とは、位置は変わらないけれども角度は変わる接合です。
柱と梁で保たせている構造体は剛接合と言います。剛接合は、位置と角度が変わらない接合です。
ゆえに、木造在来工法はピン接合なので、柱と梁だけでは構造は不安定になります。よって壁で構造をもたせている構造体です。
1-2. 2✕4工法
別名壁工法という工法で、構造体を壁で持たせています。在来工法と同じです。
木造の耐用年数は22年です。
2.鉄骨造
殆どの鉄骨造は柱と梁で構造体をもたせています。接合は主に剛接合です。地域によれば耐火被覆などをしなければならないことは建築基準法で定められています。
鉄は丈夫に見えますが、熱に非常に弱い。飴みたいになると表現されます。ゆえに鉄骨の表面に耐火被覆しなければなりません。一時問題になったアスベストはこの耐火被覆に含まれていました。
ゆえに、鉄骨造の建築物を得る場合は、アスベストの有無を確認してください。
重量鉄骨と軽量鉄骨があります。それぞれ、耐用年数は34年と19年です。
3.鉄筋コンクリート造
引張力に鉄筋、圧縮力にコンクリートにそれぞれ役割分担させている工法です。奇跡的に鉄とコンクリートとの熱による伸縮膨張率が同一であること。鉄の酸化をコンクリートのアルカリ性で補っていること。鉄、コンクリート共に地球上に無限に存在すること。この3つがそれぞれに奇跡です。そして3つ重なっている偶然はありえないぐらいの奇跡です。
3つの構造体の中で鉄筋コンクリート造の耐用年数が一番長くて、47年です。
で、どうしたの
僕も最初は分かりませんでした。そんなにシビアに耐用年数を考えなくても良いやんかとか。適当でなんとかなるとか。しかし耐震基準ひとつとりましても人命にかかわります。
耐用年数から注意することあれこれ
一覧にしてみます。木造の在来工法で詳しく記載したのは意味があります。
- 構造体
- 減価償却費
- 金融
- 耐震基準
1.構造体
テレビなどでビフォア・アフターという番組あります。あれは素晴らしい企画と思います。古い家の壁を取っ払って新しい空間をつくる。センスも良いです。
在来工法を柱と梁で建築されていると解釈すると、安易に壁をぶち抜くことになりはしないか。テレビのビフォア・アフターは建築設計事務所が構造の検証をした上で壁をぶち抜いています。構造のプロでない人が壁をぶち抜くようなことは絶対に避けなければなりません。木造在来工法は壁工法ですから。
2.減価償却費
耐用年数と連動しているのが減価償却費です。毎年の減価償却費が認められています。この減価償却費を節税に上手に利用している不動産投資家もいます。
3.金融
耐用年数から逆算して、金融機関からの返済期間を設定される場合があります。例えば鉄筋コンクリート造は47年の耐用年数です。この鉄筋コンクリート造の建築物が経年で30年経っているとします。とするなら、残りの耐用年数は47年−30年=17年。ゆえに金融機関の融資返済期間の最長は17年とする金融機関も多いです。
4.耐震基準
耐用年数も重要ですが、この建築物がいつ建築されたかを知ることは最大に重要です。なぜなら、建築物は建築基準法で定められています。建築基準法は日々改定されます。
特に耐震に対してはシビアです。1970年に耐震基準になりました。それまでは耐震の概念がなかったのです。地震に耐えるから耐震基準と表現します。
どうやら1970年の耐震基準にはいろいろ欠点があったようで、1981年に改定され、新たな耐震基準になりました。1970年の耐震基準を旧耐震基準。1981年の耐震基準を新耐震基準と表現します。
建築物は例えば築10年と表現する場合、その建物が完成してから10年経過していると解釈されています。しかし上記の耐震基準に適合するか否かを知り得ようとするとき、建物完成日、つまり竣工日ではなく、その建物が建築確認申請をされた日が基準になります。
この日が1970年なのか、1981年なのか。を再度チェックしてください。
で、どうするの
耐用年数から逆算して、現在の建物の価値を知ることが一番ではないか。ここからこの建物の価値や安全性がある程度理解出来る。
まとめ
耐用年数から得る事ができるのは、リフォームなどでの構造体の重要性、減価償却費、耐震基準、金融機関の考え方などです。
耐用年数を経年した建築物も平気で現存しています。耐用年数が過ぎても建物として機能する場合も多いです。しかし転売する場合などは次に転売する建物を購入する人に対して、金融機関が金融しにくいであろうことは想像できます。これらを加味して不動産の選定をするのが善手だと思います。