不動産投資【破産した人は多く見てきたけれども単純に不動産投資だけで破産した人はいないなぁ】

こんにちは。大賀信幸です。すべては観察から始まる。

不動産投資 破産

不動産投資と普通の事業経営とは相当相性が良いのでしょう。事業をする人の多くは不動産を手に入れています。理由は、例えば自社の事務所に使う事務所ビルを所有するとか。

僕は臨港地域に縁があったので廻りは工場ばかりでした。この関係で工場経営者ともいろいろ縁ができました。工場経営者はいずれ自社工場を持つことを目的のひとつにされているのも見て取れました。

例えば自動車の整備工場とか。最初は大家さんから工場を借りて、事業が軌道に乗れば金融機関からお金を借りて自社工場を持つ。経営者のステータスかもしれません。

運輸業界の人達ともご縁ができました。運輸業界ですからトラックの車庫や倉庫を今まで借りていた処を解約して自社物件として新たに車庫や倉庫を購入されていました。

当然のようにそれらの資金は金融機関からの借入で調達されていました。

で、どうなるの

今記載した例はすべて破産しました。僕なぜ彼らが破綻したのか不思議で仕方がなかったのです。破産した原因を観察しました。他人に賃貸する不動産投資は破産しないのに、自社で使う不動産投資は破産の確率が高いように感じました。

で、どうしたの

なぜなのか。どうやら僕の観察した処では、理由は2つあるような気がします。

  1. 借入金が多すぎる
  2. 行動の自由度が減少する

1.借入金が多すぎる

ここ、不動産投資をする上でも最重要な処のように思います。例えばこんな感じです。工場経営者を例にしてみます。

家賃100万円で工場を借りていた。毎月100万円も家賃に支払うのはもったいないなぁ。毎月100万円も家賃に支払うなら、この100万円を借入金の返済に当てたら良いなぁ。

これ誰でも経営者なら思うことだと思うのです。僕も同じように思います。

で、毎月100万円から逆算すると1年間で1200万円の家賃を大家さんに支払っていることになります。毎月100万円を家賃ではなく返済原資にしたらどれぐらい借り入れすることが出来るかと考えるのも自然な流れです。

書き出してみます。金利や返済条件です。

  • 金利 2%
  • 返済期間 20年
  • 毎月返済額 100万円

とするなら、計算ではざっくり2億円ぐらいになります。複利での返済計算をしなくてはなりませんので単純ではないですが、だいたい2億円ぐらいになります。Excelで今計算しました。正確には2億円借入て金利2%返済期間20年とした場合、月々の返済額は101万1760円となります。概算では2億円弱ですね。ここではざっくり2億円とします。

この毎月100万円の内訳を解体します。あくまで概算です。

2億円を20年間で返済ですから、2億円÷20年間=1000万円となります。つまり1年目の返済元金は1000万円になります。

この1000万円は経費処理出来るのかって問題になります。工場経営者が家賃で毎月100万円支払っていたときは、家賃1年間1200万円は全額経費処理できました。

しかし借入金の返済元金は経費処理できません。つまり毎年1000万円もの返済元金は経費にならないのです。では何になるのか。普通は利益を出して、この利益からの返済元金になります。ということは、この1000万円は利益ということになります。利益ですが、利益には税金を支払う前の利益と支払った後の利益があります。毎年1000万円の返済元金は税金を支払った後の1000万円であるのです。

結論として、税金分が足りなくなります。え、と思われるでしょう。税金分が足りなくなるのでどうするか、普通は運転資金として借入に頼ります。

これが破産の要因になります。運転資金でお金を借りても運転資金を返済するすべがないからです。これがボディブローになってますますお金が足りなくなります。で、資金ショートで破綻。

結局せっかく手に入れた工場を手放すことになります。

同じ間違いが、工場だけではなく、倉庫など自社使用の目的で購入した所有者にも当てはまります。

2.行動の自由度が減少する

普通に不動産投資物件として不動産投資物件を購入する前の投資判断では収支計画を相当立てると思うのです。不動産の価格は適正か。それに対しての想定する家賃収入には無理がないのかなどです。

どういう訳かこれが自社で使う不動産となると計算が鈍るとしか思えないのです。そして1,の理由で手元資金が枯渇しないように最初に家賃収入を設定します。

で、いよいよ手元資金が枯渇しそうになるとこの不動産を売却とか、他の方法を考えるのです。しかし自社で使う不動産となるとこの売却などの判断も後手後手に廻るように見受けられるのです。

で、どうするの

破綻しない方策は、上記の1,2,を意識することです。特に返済元金は経費扱いにならないということを徹底することです。

よく自社ビル建てて破綻はこのパターンです。

まとめ

どういう訳か、普通に不動産投資をすると破綻の確率は低く感じます。自社で使う不動産に投資をすると破綻する確率が高く感じます。

この理由の大本は返済元金が経費処理できないことにあるように思います。普通に考えて返済元金は税金を支払った後のお金で返済すべきです。ゆえにこの税金分のお金が足りなくなって破産という事例が多い感じがします。

手元のお金が足りなくなるので足りない分を金融機関から運転資金として借入する。ますます破綻に近づく行動のように思います。