不動産投資【築年数を意識するより建築確認申請日が大切】

不動産投資 築年数

考え方は2種類あります。どうやら築年数という言葉だけ聞くと、築年数30年前とか。築古とか。古い家とかイメージしがちです。これは間違いないのですが不動産を所有したり運用したりするにはちょっと別の側面があります。

  1. 建築物としての築年数
  2. 耐用年数としての築年数

で、どうなるの

建築物としての築年数と耐用年数としての築年数です。建築物としての築年数は基準時を意識すること。特に日本は地震国なので耐震基準を重視すること。

耐用年数としての築年数は税金や金融での金融条件に非常に影響があります。特に金融では借り入れ金利や借り入れ返済期間です。

建築物としての築年数

土地だけではまったく問題ないのですが、建築物はいつ建築されたかを表す基準時という考え方があります。これ、意外に知らない人多いです。

で、どうしたの

例えば僕の例ですが、築年数60年ぐらいの不動産手に入れました。もう10年以上前のことです。この不動産は大阪市住之江区にあります。

住之江区は埋立地が多い地域です。住之江区から少し陸地側が有名な住吉大社です。古い時代では住吉大社の目の前に海があったとのこと。ゆえに住吉大社は海の神様です。

住之江区の海に面している埋立地の不動産を僕は得ました。用途地域は工業専用地域というて、小売店や住宅は建築してはならない地域です。

ここに住宅が建築されていました。この住宅をご縁がありまして、僕は得たのです。廻りはトラックが行き交い倉庫や工場が立ち並んでいる地域です。

交通の手段は大阪市内にもかかわらず、バスだけ。それも朝晩に集中している運行です。おそらく工場や倉庫にお勤めの人を対象にしている計画なのでしょう。

当然住んでいる人はいません。ここからなんですが、この地域に住宅が現実に建築されている。これは合法か違法か。上記基準時の考え方では合法になるのです。

調べたところ、この地域は1960年代後半に工業専用地域に改定されたようです。つまり工業専用地域になる前に住宅を建築されていたことになります。

で、例えば今僕がこの住宅に住民票を移すとどうなるか。この事例ではね、住民票を移すことが出来るが正解です。ここ微妙です。移せない事例は例えば、工場で建築確認申請されていて、この工場に居住場所がない場合には住民票は移せないのです。

この住宅をもし僕が住居として賃貸することは違法か合法かと問われるとこれも合法になります。基準時の考え方ですからね。

実質問題として、僕が得たこの住居を不動産投資対象とした場合、おそらく住む人は居ないように思います。なぜなら上記したように交通の便に問題ありで、廻りが倉庫や工場街なので朝から騒音がある。

ゆえに僕はこの住居である建物を解体して倉庫に立て直しました。倉庫にしてもう10年以上が過ぎていますが、ありがたいことに倉庫として機能しています。

で、どうするの

別の例では、1970年の旧耐震基準、1981年の新耐震基準、2000年耐震基準があります。例えば不動産投資家が1970年代の建築物を手に入れた場合は、当然現時点の建築基準法には合致していません。で、これは違法かというとそうではなく合法です。

ここからがちょっとややこしいのですが、例えばこの1970年代に建築された建築物にエレベーターを新しく設置する場合はどうでしょう。建物全部が現時点の建築基準法に合致しなくてはなりません。これがま、大変なことになります。基礎から構造体全部を調査して、再度設計し直さなければなりません。予算に糸目を付けないのであれば可能でしょうが、不動産投資のように事業目線では無理でしょう。

阪神淡路大震災や東日本大震災後には、公立の学校や病院、図書館などに耐震補強されたのはこんな事情です。建築物としては合法であるけれども現在の建築基準法の基準には合致していない。ゆえに、建物は残して耐震補強をする。

これらの場合はどの日付が重要かというと建物の竣工日ではなく、その建物が計画され建築される建築確認申請日が重要です。ここ再度確かめてくださいね。この建築確認申請日が基準時になります。

耐用年数からの築年数

土地には減価償却という概念がありません。土地は減価償却ないのです。建築物には減価償却があります。これは耐用年数が決められていることによります。

誰が決めるねんって。これはね、国が決めます。

  1. 重量鉄骨造 34年
  2. 鉄筋コンクリート造 47年
  3. 木造 22年

普通にキャッシュで不動産を手に入れる場合は問題ないのですが、銀行融資を利用する場合は大いに問題があります。これは金融機関にもよるのですが、この耐用年数以上には金融してくれない場合が多いのです。

例えば鉄筋コンクリート造の建物で築年数が30年とします。上記47年−30年=17年。返済期間の上限を17年とされる場合があります。他の構造体も同様です。

逆にこれらの耐用年数は融資判断には影響を受けますが、融資実行している金融判断もあります。

まとめ

築年数は単純に建物の経年のことではありますが、意外に奥が深いです。建築物としての築年数と耐用年数としての築年数。共に不動産投資の根源になる部分です。特に建物の竣工日ではなく建築確認申請日に注意してください。